eye cue rew see interview Part1


2013年、ベースの須貝彩子を大胆にメイン・ボーカルとしてフューチャーしたガールズ・ポップアルバム『A.Y.A』をリリース。さらに2014年に入ると同時にメロウ感と季節感を織り交ぜたシューゲイズサウンドをコンパイルしたライブ会場限定盤『White Loud』を挟みつつ、この9月に早くもフルアルバムを早くも完成させ、ここにきてますます勢いの止まらないPLASTIC GIRL IN CLOSET。

コンスタントにアルバムをリリースするだけでなく、ツアーを中心にライブ本数を着々と重ねていく中で(Spiral Lifeの石田ショーキチ氏との競演ではSpiral Lifeのカバーも!)、リスナーからの注目もますます高まっている彼ら。プラガファンが続々と増えていく中、新作にして今の彼らのベスト作ともいえる 5th『eye cue rew see』リリースにあたり、この度、ロングインタビューを敢行。

まず、今回の前編では『eye cue rew see』が完成するまでの経緯やその内容について、近作でのエレクトロ・ミュージックへの接近、リード・トラック「COLOURS OF THE WORLD」MVについてメンバーにお話を伺い、そして次回後編ではアルバム収録曲1曲1曲について徹底インタビュー。ぜひぜひ、彼らのセンチメンタルでメロウなメロディやフィードバックノイズに身を委ねながら、彼ら自身の声もチェックしていただきたい。

(インタビュー・構成 明山 真吾〈Sunday Monday / ムクドリの会〉)


「最初は「NEW VIEW」がタイトル候補だった」(『eye cue rew see』とアルバムタイトルが決まるまで)

— 新作『eye cue rew see』が9/17にリリースされるわけですが、フルアルバムだと1年2~3ヶ月おきのペースでコンスタントにリリースしています。その間にリイシュー盤(『Silent Dreams』)やミニアルバム(『White Loud』)を挟んでいることも含めて、ここ数年はさらにハイペースでのリリースが続いています。そこで質問ですが、いつも先にアルバムコンセプトを立ててから曲をストックしていますか? それとも曲がたまってからその中でアルバムコンセプトを固めていますか?

高橋祐二〈Vocal/Guitar〉(以下、祐二)「アルバムが5枚目になってきて、自分たちが作っているバンドのイメージとか、周りが持っているバンドのイメージも芯にしっかりしたものがあるので、その上で「こういう曲をやってみよう。ああいう曲もやってみよう」っていう。アルバムを出してすぐにスタジオで音を合わせて、セッションなどを重ねていくうちにいろんな曲ができていって、その曲たちに対してのアルバムという形です。だから最初にテーマありきというよりは、元々あるバンドの表現しているものをズバッっと通した上で、そこに対して今自分たちが聴いている音楽のモードなどを少しずつ拾って曲を一曲一曲作っていって、その中で見えてくるものに対して合うテーマがコンセプトとなります。あとは自分たちは3ピースでシンプルなサウンドでやっていて、それにシーケンスが絡まってくるという形になっているので、割と曲単位ではバラバラでもアルバムにする時にシーケンサーの使い方だとか音の選び方などで全体をまとめてます。それにテーマをつけたり、テーマに合わせたり、という流れですね」

— その流れだと、新作も曲がある程度揃った段階でタイトルをつけて全体的なアルバムのトーンを決めたと思います。『eye cue rew see』というタイトルが決まった経緯や、きっかけを教えていただけますか?

祐二「最初はアルバム一曲目の「NEW VIEW」がアルバムタイトルの候補だったんですよ。4枚目のアルバム(『A.Y.A』)がおもいっきり遊んでみようというかガールズポップアルバムをつくろうというテーマで。そういう意味で実験作というか企画盤みたいな感じだったので、それをふまえて次のアルバムにいくという時に、「また新しいことをやろう」とバンドとしてもやる気に満ちあふれてました。「いいメロディの曲をつくろう」というのは前提として、サウンド的に際立って新しいことをやろうというわけでもないのですが、細かいところでいえば新しいこともやりつつ。そういう意気込みも含めて「NEW VIEW(新しい眺め)」というタイトルがいいんじゃないかという話で。例えば初期1stの3ピースなシンプルなサウンドから現在と未来までをパノラマ写真のように繋げるというようなイメージで「New View」ってしてたんですよ。それで決定だろうって感じだったんですけど、今までのアルバムタイトルが『TOY』は置いておいても、『cocoro』『ekubo』『A.Y.A』ときていて、それが独特な感じの流れで他の人はつけないなという感じのタイトルで、『NEW VIEW』だとちょっと普通かなみたいな感じに思えてきて(笑) 「意味合い的にはいいんだけどな」というところで考えてたら『eye cue rew see』が。これはもうホントに電撃的に降ってきたという感じです(笑)」

–なるほど(笑)

祐二「”cue”と”rew”がカセットデッキなどの早送りと巻き戻しじゃないですか。だからその過去・現在・未来を見渡すっていう意味合いも含めて。その中で自分たちの芯にある人懐っこいメロディや核にあるものを『eye cue rew see』という言葉にかけて表わせているなあ、と思って。で、だじゃれっぽい感じで愛嬌もあるし。それと自分はジャケットのデザインもやっているので、丸っこい文字が並んだ時の感じがいいなあと思って」

— では『eye cue rew see』という横文字が先にイメージであったんですか? 自分はまずかわいらしいという意味での「あいくるしい」がひとつ。それと、プラガの曲ってラブソング的な曲って多いんだけど、割とハッピーなものというよりはちょっと切ない感じのものが多くて。だから「愛、苦しい」というニュアンスでの「あいくるしい」がもうひとつ。アルバムを聴いていてそのようなことを思ったんだけど、そういったニュアンスは絡めてたりはしないですか?

祐二「(横文字より先に)平仮名での「あいくるしい」が先にきましたね。例えば恋だとか愛だとかっていうものがテーマになっている曲って多いんですけど、人間の感情って狂気じみてるところとか、表裏一体的なちょっとしたずれでちょっと間違うとちょっとヤバい感情になるような。そのぐらいの気持ちとか深いところにある感情とか。表面上の爽やかな恋愛観だとかラブストーリーだとかをなぞるというよりは、人間の毒っぽいところというかそういうところまでいく感情っていうのは「あいくるしい」っていう言葉がすごく近いかな、というイメージがあって。で、それプラスひとつひとつの”eye””cue””rew””see”という英単語が自分が好きだったんですね。これが合わさった時に「おお、これはキたぞ」と」

–祐二くんがタイトルの発案者なんですね。

祐二「これはもうバリバリッとキましたね(笑)」

— 彩子さん・津久井くんのお二人はこのタイトルを聞いてどうでしたか?

祐二「ふーん、って感じだったよね。でも津久井くんは割と反応良かったよね」

須貝彩子〈Vocal/Bass〉(以下、彩子)「でもホワイトボードに”eye””cue””rew””see”って単語を書いてくれて、その字体を見た時に「おお、いいじゃん!」って」

祐二「ジャケットのイメージが(完成品に)近い形で頭に浮かんでいたので、それをスタジオで絵に書いて。それを見せたら彩子もいいなあ、とは言ってましたね。津久井くんは最初から割と賛成してたよね」

津久井たかあき〈Drams〉(以下、津久井)「今までのアルバムタイトルの流れも汲んできてるし、これっきゃないだろっ!と思いましたね」

— アルバムタイトルが人に関係する”eye”とか”see”って言葉も入ってきてますしね。「STARRY STAIRWAY」の”みつめたままで ココロに刺すナイフ”とか「TENNIS COURT」の”真昼の月に 瞼をこする”、「CITRUS KISS」の”つねて 目が醒めた後 痛むのは”や「AFTER DARK」”見えない力に騙され疲れて褪せてていく”など、視線とか目に関する歌詞も多いですしね。

祐二「うんうん」


「今回はド直球。今できることのベストな感じ」(アルバム『eye cue rew see』が完成するまでの経緯)

–ギターが脱退して、再び3人体制になってからリリースされたアルバムの中で個人的には今回の『eye cue rew see』はベストのアルバムだと思っています。楽曲の精度やシューゲイズ・サウンドの復活、エレクトロサウンドの消化具合、祐二くんと彩子さんのコーラスワークなどトータル的なバランスがすごく絶妙と思っていて。個人的には『cocoro』が一番好きなアルバムで、もちろん以降のアルバムもそれぞれに良さがあったと思いますが、今回はコンセプト感もある上で、曲の終盤に高揚感の増していく曲が多くてライブ感もあって良いアルバムだなというのが感想としてあります。メンバーの皆さんとしては今どのように思いますか?

祐二「今作はテンション的には『cocoro』に近いと思います。サウンド的には(『cocoro』を)全然意識していないですが。うーん、気合いが入ってますね(笑)」

–毎回気合いが入ってるのは作品を聴いてて伝わってきます(笑)

祐二「『A.Y.A』の時はテーマが先にあって。シングル曲を書いて「キャッチーな曲を、皆が好きそうな曲を」というのと自分らがやりたいことを天秤にかけると、全体的に自分らがやりたいことの方が重かったかな、という部分があります。サウンドだけではなくて「周りの意見はいいや、賛否両論あって結構」みたいな感じが少し重かったと思うんですが、今回はド直球という感じですね。1stから今までの流れを全て踏まえた上で、タイトルもそうですけど、過去から未来へとみたいな部分を意識してたので、今できることのベストみたいな感じですね。『cocoro』もそういう感じだったんですけど。当時『TOY』は自分だけのボーカル作品で、今できることを全部やってみようと『cocoro』でシーケンスがちょっと入って、ボーカルを彩子が半分取るようになって。その時できることを全部やった作品だったんですけど。割とそのときの心境には近い感じですね」

–あと祐二くんと彩子さんのコーラスワークについて。『A.Y.A』と『White Loud』が彩子さんがメイン・ボーカルの曲が多く、彼女にフォーカスを当てていた作品だと思うのですが、その過程を経て、今作では掛け合いもあり、コーラスワークもより自由度が増した気がします。

祐二「そうですね。作品を作り終わってすぐに次のアルバムのことをいつも考え始めるタイプなんですが、今後のことも考えていくと、今回はかっつりと掛け合いって感じですが、今後はもっともっと曖昧なんだけどめちゃくちゃポップでなんかヤバいってことをやりたいな、と思っていて。「このパートをどっちが歌っている」とかよくわからないけど、(聴いた時に)なんかスゴいみたいなことをせっかくボーカルが2人いるのでやりたいですね。今回は掛け合いも含め、その部分に一歩踏み込んでいった、という感じです」

–『A.Y.A』リリース後のワンマンライブを観た時に、あのアルバムは彩子さん色が強いガールズ・ポップ的コンセプトが強かった曲が多かったにも関わらず、ライブを観た時の感想としては2人のコーラスだったりハモり具合の気持ち良さが一番印象に残っていて。今作で歌やコーラスワークのバリエーションが増して、今後ますます面白くなるのかな、と思いました。

祐二「なんか、こう…、もっと曖昧になっていきたいですね。例えば今作の曲でいうと…、今作の曲でいうと…、ないですね(笑)」

一同「大笑」

祐二「今回は割とぱっきりと(2人のパートを)分けましたね(笑)」

–では、渾然一体としたヤバいのは次作に反映されるかもしれないですね。

祐二「これはどっちがボーカルか判らないけど、なんかすんげえなっていうのを作りたい(笑)」


「打ち込みは頭の中で鳴っている音が表現できるようになってきた」(近作でのエレクトロ・ミュージックの影響)

–『ekubo』以降、近作ではエレクトロ・ミュージックの要素が高まってきていると思いますが、これは単純にエレクトロ・ミュージックの方に興味があるからですか? それとも例えば新しい機材を買って試してみたら音色が面白いとかそういったことも関係してますか? あとメンバーが一人抜けたことの影響もありますか?

祐二「普段はシンプルなバンドサウンドのものよりエレクトロに限らず色々な楽器がいっぱい入っている音楽を好んで聴いていますね。十代の頃とか3ピースだけのサウンドでやってた頃は、聴く方でも「エレクトロはちょっと…」とか「やっぱりバンドサウンドの方が…」っていう感じもあったんですけど。プラガのメンバーはプレイする側としてももちろん楽しんでやってるんですけど、リスナーとしての音楽愛が結構強くて基本的に音楽を聴くのが好きなので、その音楽に影響されるところはおおいにありますね。あと機材の面では、技術が上がってきたというのがあると思いますね。例えば打ち込みにしても頭の中で鳴っている音が表現できるようになってきたので。それと機材が揃ってきたというのも単純にありますね(笑)」

–はい。

祐二「メンバーの脱退に関しては、4人でやっていた時からエレクトロっぽい曲は結構あったのでそれはあんまり影響はないと思います」

–3人って普段聴いている音楽って共通しているんですか? わりとバラバラな方ですか?

祐二「バラバラだとは思わないですし、離れているとも思わないです。冷静に考えればかなり近い同じ括りの中で、違う音楽も聴きつつ、聴いている音楽は重なっていると思います」

–洋楽・邦楽も全然関係なく聴いてますか?

祐二「そうですね。例えば今僕がベルセバばっかり聴いていて、津久井くんが○○ばかり聴いていて、彩子は古いシティポップばっかり聴いているよ、という状況があっても、それぞれにハマっている時期がリンクしないだけでそれぞれの音楽はみんな理解しているという感じですね」


「絶対この曲しかないって思いました」(「COLOURS OF THE WORLD」MVについて)

–今作『eye cue rew see』のリードトラックとしてMVになった「COLOURS OF THE WORLD」。この曲をセレクトした理由を教えて下さい。

祐二「これは揉めに揉めてですね(笑) 僕と津久井くんは「NEW VIEW」が良いっていってたんですけど。「やっぱ「NEW VIEW」だろ、「NEW VIEW」だし」って。で、彩子とレーベル…というかプロデューサーの(cruyff in the bedroomのハタ)ユウスケさんは「「COLOURS OF THE WORLD」だろう。これはキャリアの中でも一番良い曲だ」みたいに言うんですよ。「お前の作曲人生の中で一番良い曲だ、これはキてるよ」みたいに。でも、僕はそう思えなくて(笑) ただ、前作『A.Y.A』の時「Romance」がMVだったんですけど、その時が思い切っていた作品で、それと同じようなところを続けるのも、って思って。四つ打ちの曲でエレクトロ色を強めに感じる曲なので。それで「(「NEW VIEW」は)面白くもないかもね、良い曲ではあるけど」って。「MV作るのに対してあまりふさわしくない曲かもなあ」みたいな話になっていって。で、最終的には「COLOURS OF THE WORLD」に決まったって感じですね」

–彩子さんがこの曲を推した理由を教えてもらえますか?

彩子「絶対この曲しかないって思いました。このアルバムで掛け合いっていうのもバーンって出てきたし。その代表って意味でもこの曲しかないな、って」

–津久井くんが「NEW VIEW」を推していた理由は?

津久井「「NEW VIEW」っていうよりは「COLOURS OF THE WORLD」ではないかな、って」

祐二「今考えると、アルバムについて話した時に出た(自分の中で比較する際の)天秤が完全に自分の方に傾いていただけだよね」

津久井「そうそう。それでバランスを取ったというのもありますし、あとライブ感がいいって話もあったよね?」

祐二「僕の声のキーよりはるかに音階的に高い曲なんですよ。なのですごい頑張って声を出さないといけないので、それが演っててすごい気分爽快だったんですよ」

一同「大笑」

津久井「今までそういう気持ちいい曲、MVにしてなかったよね、って」

祐二「こういうギターポップ系の曲ってプラガは多いんですけど、意外とMVにしてなくて。割と皆さんにはそういうイメージは持ってもらってるんですけど、早いギターポップ系の曲をそんなに(MVという形で)表に出してなくて」

–わかりました。このMVのロケ地はどこですか? 地元の岩手?

祐二「はい」

–岩手の公園と、海も?

祐二「海は青森です」

–MVを撮影した監督さんについて教えていただけますか?

祐二「映像監督の山下晃平さんで、少女スキップとか…」

彩子「sugardrop、civic(のMV)も撮ってます」

祐二「山下さんは正にこの曲を撮るのにジャストな方で。ベルセバ大好き!ギターポップ大好き!みたいな方で。「Romance」を撮ってもらったのも山下さんです。結果的に今回MV用の曲は「COLOURS OF THE WORLD」をセレクトして良かったです。監督とのマッチングが良すぎて」

–MVで出てくるシャボン玉を使った演出のアイデアも山下監督?

祐二「そうですね。実は今回のコンテとか案って『ekubo』の時に一回出ていて。「こういうプランで撮りましょう」って言っていたギターポップ調の曲があったんですけど、その時の天候やその他の関係で難しいねって話が流れて。で2年越しで「やってみようか」って話になって」

–基本的に山下監督にお任せする形ですか?

祐二「かなりお任せですね。なにかアイデア出したかな…? 出してないですね(笑)」

–彼に委ねるままに…

祐二「山下さんに頼む時って余計な心配がいらないんですよ。完全に(プラガの音楽の世界観などを)判ってくれているんで」